Laundry Dried Outside

 

洗濯物が乾きにくいからと浴室乾燥機で乾かすのと、外干しして太陽の力を借りて乾かすことは、「洗濯物を乾かす」という点では同じであっても、本質は全く違う。

浴室乾燥機で乾かしたタオルに、太陽の匂いはないし、太陽による殺菌作用はない。あるのは、乾き、もしくは確実に乾くということ。あとは、自然エネルギーの消費がある。

外干しして乾かしたタオルには、太陽の匂いがあるし、どうにか乾くよう工夫する行為と知恵があるし(場所を入れ替えたり)、干しているときに感じる冬の空気の冷たさや音という季節の経験がある。また、場合によっては夜になっても乾いていなくって、良くも悪くも学びがある。

同じように、食べるということは、物を口に入れてお腹を満たすことではないし、サプリメントで栄養を補給することでもない。

行為の本質とは、そこにあるのではないかな、と思う。

ひとつひとつ、行為の本質を考えたい。それは、生きる、つまり五感を使って経験するということだと思う。便利さや効率でなくて、本質をともなった選択をしていくことが、人生の質を作っていくのかなと思う。時間や行いばかりを節約していくと、確実にその質は失われていく。

 

「乾かす」とか「食べる」ということを、言葉の通り一部だけ取り出すのは危ない。ひとつの栄養素だけを取り出して、それが体にいい、悪いというのと似た危なさがあると思う。行いも食べ物も、一部で成り立っていないし、他のものとのかかわり合いで成り立っている。一部だけ取り出した場合一見効率が悪かったりマイナスの要素があっても、それは全体的に見たときには、それが自然の中で生まれたものである限り、本質を伴った行為であるはずだし、ひとつの小宇宙として完成されている。

 

洗濯物がなかなか乾かない日々が続く中、今日も前向きな気持ちで寒さに耐え、ベランダに立つために。