旅をすると、心を動かされるものに出会う。それはほとんど無形のもので、笑顔だったり、美しい瞳の輝きだったり、にじみ出る心の温かさだったりする。もしくは自然であることが多い。
それらに共通することは、それらが「今」という瞬間を最大限に生きるものである、ということだ。
人を幸せにする笑顔のあの人は、今を楽しんで生きている。明日への不安、過去への執着はそこにはない、彼は今を生きている。
思わず覗き込みたくなる瞳の輝きを放つ子どもの目、その子どもたちは今を一生懸命生きている。
おいしい料理をつくってくれたあの人も、目の前にある食材にまっすぐ向き合っていた。食材を手に、他のことを考えるなどしない。それがいのちを扱う人がとるべき姿勢である、そして食物への感謝とは目の前にあることにまっすぐ向き合うことだと、その時知ったものだ。
自然は今を最大限に生きる。太陽が降り注げば、その光を一心に受け止めて光合成しようとする。雨が降れば、その恵みの水を全身に浴びる。風が吹けば、その通り靡き身を委ねる。その姿に私たちは感動する。
今を最大限に生きなければ、思い出したくなる「過去」など存在しない。わくわくする「未来」もない。
「今」、強く願いたい。努力したい。目一杯挑戦したい。笑いたい。そして感謝したい。